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デジ・ライフコラム

衛星通信を利用したスマートフォンって?

スマートフォンで地球上のあらゆる場所で通信が可能になる

1)衛星通信とスマートフォンの融合
現在のスマートフォンの通信は、山間部、海上、災害時など、基地局の電波が届かない環境では通信が途絶えてしまう場合があります。これを解決するため、衛星通信とスマートフォンの融合が注目され、一部でサービスが開始されました。

衛星通信は、地球上を周回する人工衛星を介して電波を送受信する通信方式です。地球上のあらゆる場所で通信が可能になるという大きな利点があります。イメージ図を用いて説明していきます。

衛星通信とスマートフォンの融合は、イメージ図の 低軌道衛星通信(LEO)を利用しています。

                   (出展 Gemini)

2)キャリアの状況

2-1)KDDIとStarlink Direct

2025年4月10日より、SpaceXが開発した低軌道衛星「Starlink」とスマートフォンが直接接続できるサービスの提供を開始し、大きな注目を集めています。

auのエリア外であっても、空が見える環境であれば、既存のauスマートフォンで衛星通信を利用できるようになりました。これにより日本の国土の約40%を占める未カバー地域をカバーできるようになるとされています。au Starlink Directでテキストメッセージの送受信することが可能です。

利用にあたって、Starlinkで通信を確保する場合は北の空が広く開けている必要があります。日本でStarlink衛星は主に北の空に出現します。Starlink衛星(600基の地上340kmを飛ぶ低軌道衛星)は、決められた軌道を高速で周回しており、常に複数の衛星をスマートフォンのアンテナ視界に入れる必要があります。

Starlink衛星イメージ(出展 Gemini)

2-2)楽天モバイルとAST SpaceMobile

次に楽天モバイルは2026年第4四半期(10月~12月)に日本全国での商用サービス開始を目指しています。これに向けて以下の実証実験や準備を進めています。

楽天モバイルは、AST SpaceMobileが開発する BlueBird衛星(96基の地上600kmを飛ぶ低軌道衛星)を活用し、市販のスマートフォンで直接衛星通信を行ないます。この計画の最大の特長は、市販スマートフォンと衛星間で5G接続し、最大14Mbpsのダウンロード速度を達成できることです。今後2年間で約60機の衛星を打ち上げる方針です。

地上600kmの軌道にある衛星は、周波数1.7GHz帯の電波を地上に向け送信します。「この衛星からの電波と既存の携帯基地局が発する電波との干渉」という解決すべき事項が残っています。電波の干渉がありますと相互の通信に悪影響を与え最悪の場合、通信が途絶えます。

BlueBird衛星イメージ(出展 Gemini)

3)課題と今後の展望

衛星通信利用したスマートフォンの融合はいくつかの課題があります。

①高コスト →  衛星通信サービスは、現在のところ地上通信サービスと比較して高価な傾向にあります。サービスの普及には、コスト削減と利用料金の適正化が不可欠です。

②技術的な制約 → スマートフォンの小型化、低消費電力化、そしてアンテナ技術のさらなる進化が必要です。また、衛星からの電波を安定して受信するための、障害物の影響を受けにくいアンテナ設計も重要となります。

③規制と標準化 → 国際的な周波数割り当て、各国の通信規制、そして異なる衛星事業者間での相互運用性の確保など、グローバルな標準化と規制の整備が求められます。

④セキュリティ →  衛星通信は、電波が広範囲に届くため、傍受のリスクも考慮する必要があります。セキュリティ対策の強化は、サービスの信頼性を確保するために不可欠です。

これらの課題は、各国の政府、衛星事業者、スマートフォンメーカー、通信事業者などが連携し、技術革新と政策的な取り組みを進めることで、着実に解決されつつあります。LEO衛星コンステレーション(複数衛星間の連携)の構築、さらに大手通信事業者の衛星通信サービスへの参入など、業界全体の動きは加速しています。

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衛星通信ついてもっと詳しく知りたい方へ、主に以下の3種類があります。

1)静止軌道衛星(GEO: Geostationary Earth Orbit): 地上約36,000kmの高さに位置し、地球の自転と同じ周期で公転するため、地上からは常に同じ位置に静止しているように見えます。広範囲をカバーできますが、地球からの距離が遠いため、通信遅延が大きく会話に違和感を与えます。用途の例として、TV衛星放送国際間通信災害地通信、離島通信があります。

2)中軌道衛星(MEO: Medium Earth Orbit): 地上約8,000km~20,000kmの高さに位置します。GEOとLEOの中間的な特徴を持ち、GEOよりも遅延が少なく、LEOよりも少ない数の衛星で広範囲をカバーできます。用途の例として、GPSのような測位システム、地球観測、があります。

3)低軌道衛星(LEO: Low Earth Orbit): 地上数100km~2,000kmの高さに位置します。地球に近いため通信遅延が非常に少なく高速通信に適していますが、カバーできる範囲が狭いため地球全体をカバーするには多数の衛星が必要となります。用途の例として、ブロードバンドインターネット、地球観測、今回ご説明しましたスマホによる衛星直接通信があります。

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